2013-01-01から1年間の記事一覧

『桐島、部活やめるってよ』  

群像劇は主人公が絞れないだけに、「何言ってんのこの映画?」という風になりやすいです。登場人物、みんな高校生で同じ服着ているというだけでだれがだれかを判別しにくいのですが、 それぞれが別のものを目指しているのですし、その目的の相違により、別々…

『未来少年コナン』  ギガントのデザインについて

『未来少年コナン』の中の ギガントですが、トトロのデザインとほとんど同じです。 わたしたちは、『風立ちぬ』を見るまでは、以前の宮崎駿作品のテーマをあまり深く考えることはなかったのではないでしょうか?自然と科学文明の二元論的対立 その程度のこと…

無題

思うところがあって、ブログの題名を少々変えました。このブログ、もともと、『映画の見方 主に谷村美月』というかなり痛々しいものでした。 その痛々しさというのは、私が谷村美月の映画ばかり見ていたという痛々しさに由来するのですが、その結果、このブ…

『ピクニック』  サブリミナルって嘘だったんだよね

サブリミナル洗脳、つまり、映画のコマの中に知覚できない秒数 (3000分の一とか) で 「コカ・コーラ飲め、この馬鹿野郎!」とか表示された画面を挿入すると、その命令を真に受けるというのが、サブリミナル広告 なんですが、 このブログ中で、「サブリミナ…

『風立ちぬ』  ちゃんと風の方向見てました?

このブログ、画面の左右の方向について語る映画レビューが主体なんですが、このブログ内で持ち上げられている監督は、リドリースコット スピルバーグ 黒澤明 そして宮崎駿でして、全員が国家レベルの桂冠監督どもばかりだというあたりから、私の人間性の保守…

『風立ちぬ』  なんで関東大震災?

閉じた物語と開かれた物語に二分できると仮定しましょう。 閉じた物語とは、物語の中で論理的整合性が高く、その物語の完成度が高くて作品本体のみで自立しているという意味です。開かれた物語とは、物語の中に論理的整合性が低く、背景となる出来事を加味し…

『風立ちぬ』  誰も死なない映画ゆえ

蓮見重彦が 映画を見る際の「動体視力」ということを言ってまして、 わたしの解釈では、それはどういう意味かというと、映画は一期一会的にみられるものであり、 その一期一会を想定して、撮影し、画面を編集しているわけで、 その想定された一期一会に向け…

『耳なし芳一』 就寝前には脳内映画

耳無芳一の話作者: 小泉八雲発売日: 2012/09/13メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 15歳以上で、この話を知らない日本人とはどういう存在なのでしょう?私のあずかり知らぬ世界です。 まあ、いいでしょう、いきましょう。映画や写真で現…

視覚イメージ総量の乏しさゆえに

400年前、まだ写真もなかった昔の話。中国の陶器は人工的に作られた宝石だと考えられていました。 つややかな白色は、象牙よりも真珠よりも美しいとされ、高い値段で取引されました。その美しい白の上に美しい絵が描かれると、価値はさらに上がるので、陶器…

脳内ムービー 『ダンスダンスダンス』公開中

村上春樹の『ダンスダンスダンス』で主人公と超絶美少女の出逢いのシーン。「縞麗な子だった。長い髪が不自然なくらいまっすぐで、それがさらりと柔らかくテーブルの上に落ちかかり、まつげが長く、瞳はどことなく痛々しそうな透明さをたたえていた」これが…

脳内キャスティング 『時をかける少女』

最近気になってならないことなのですが、小説読むときに、みんながみんな、頭の中で映画のような視覚イメージ化を行っているのかどうなのか? 平均的な人が行っているとして、大体どの程度のレベルまでやっているのかということなのですが、その際に、ものす…

読み飛ばし読書 『ダンスダンスダンス』

小説を読むのはある意味難しい。まあ、逆から言うと簡単でもあり得るんですが、 このブログのテーマなのですが、映画の画面は右向き化左向きかにこだわってみよー、 ということなんですが、なんでそこにこだわるべきかと私が考えたかと申しますと、みんな、…

『時をかける少女』 

この回の続きです 「映画の解釈は個人個人によって違うものでしょ?」といういい方もあると思います。究極的には「人生の意味の解釈って心の持ち方次第でしょ」というのと同じだと思います。ただしかし、映画のスクリーン上の光景は、私たちの日常の目の前の…

『誰もしらない』 執拗に繰り返される赤色 おそらく本来あったはずの出口

優れた映画なのですが、ひどい話しです。ひどい話なのですが、ウィキで巣鴨置き去り事件について読むとさらにひどい話で、鬱になります。え逆から言うなら 映画には出口が示されていたはずなのですね。 置き去り事件だと、長女の年齢は8歳。長男が14歳だ…

『続・エマニュエル夫人』  『檸檬のころ』 BGMのBPM

このシーン BPM(心拍数)100くらいでしょうか?Фильм Эммануэль 2 (1975) メトロノームの目盛を見ると下限が40上限が208で、これは一般的な音楽のBPMの範囲であると同時に、生きている人間の心臓が一分間に可能な拍動数の範囲でもあります。 椅子に座ってい…

晩年の黒澤作品について思う

黒澤明作品については、周期的に全部肯定したくなる。周期的ということは、どういうことかというと、70年代以降の作品群については全否定したくなる季節が定期的に私に訪れるということでもある。 「オジサンノコトシラナクテスミマセンデシタ」画面が左右の…

『ガンダム大地に立つ』 富野原則について検証

富野由悠季『映像の原則』には、 画面には 上手下手があり、← が上手で 巨大さ 強さ 等に親和性が高いということが書かれています。 では、彼の画面構成理論では物語には統一的な方向があり、それを追求する場合には ←方向、それができない場合は →という発…

富野由悠季 『映像の原則』 再読

キネマ旬報ムック【2500円以上送料無料】映像の原則 ビギナーからプロまでのコンテ主義/富野由悠季ジャンル: 本・雑誌・コミック > エンターテインメント > 映画 > 映画撮影・制作ショップ: オンライン書店boox価格: 1,890円楽天で詳細を見る 「小さな個性…

『大脱走』  「鳥のように自由に」と陳腐なことばを呪文のように唱えること

わたしがこの映画について語るとどうなるのかといいますと、 当然この点に着目します。 トンネルは どちらの方向に掘られるのか? トンネルは狭いですからカメラの置き場所が極めて限られます。また薄暗く背景が存在しないも同然ですから、トンネルを掘る方…

「北枕」 起死回生 魔界転生

一章の『映画の抱えるお約束事』 で触れてありますが、← ← ← と継続した流れが断絶して、→方向に転換した場合、観客はだれも画面の進行方向を気に留めていないですが、その代わりに無意識的な何かが切り替わった、と錯覚してしまうのが映画というものです。…

上座 下座

現在の日本映画・テレビドラマでは 画面上にこのように人物が配置されることが通常です。この話を、当ブログで書いたところ、 「それって舞台の上手下手の映画版でしょ?」で、すんなり了解される方もいらっしゃるようなのですが、わたしには、それって、画…

『時をかける少女』 原田知世版 1983

原田知世、 剛力彩芽ととことん似ている。 それだったら、剛力彩芽で時をかける少女をリメイクできるのかというと、今の時代はそれを許してはくれないでしょう、というか、今の時代だったら原田知世の『時をかける少女』でさえも許してはくれないでしょう。 …

『時をかける少女』 映画はなぞに満ちている

先代「時をかける少女」の叔母さん。物語の目的を見通した人物、 主人公と目的意識を同一にする人物であることを表すために、←のカットで初登場。 映画の画面は右に動くか左に動くかの二者択一をすべてのシーンに於いて行っています。どうして横の動きだけで…

『トムは真夜中の庭で』  

ここしばらく小説と映画の関係についてですが、映画の場合だと、右向き左向きによってどのキャラクター視点で物語が語られているのか?ということの目安をわたしたちは得ることができるのですが、では、小説では、そのような目安はどのように得ることができ…

『ナルニア国物語』  悲しみのトンネルを抜けるとそこは夢の国だった

映画の批評というと、この手のキャッチコピーでっち上げることが主な役割、そんな風に私は考えておりまして、それ故、映画の批評というものをまじめに読む気にどうしても私はなれないのです。 どうして、映画の批評というものが、ちゃんと映画について語るこ…

誰の目線で?

物語を誰の目線で語るのか? この点について気になる人は多いと思います。 気になる、気になる…、しかし具体的にはどのようなやり方でという具体的な問題は、ほとんど語られる機会がないのではないでしょうか? 誰の目線で物語を語るのか?ということにつき…

幽霊目線?について

ここしばらくわたしが嵌っている『透明人間』ですが、透明人間作者: ハーバート・ジョージウェルズ発売日: 2012/10/07メディア: Kindle版 クリック: 3回この商品を含むブログを見る わたし的にこの小説を段落わけすると、①透明人間の正体が知れるまで ②透明…

小説、脳内ムービー化について 2

あまりにも でかいテーマについて語り始めてしまい、これ話の外郭さえなかなか見えてこんわ、ってな感じですので、 ぽつぽつ覚書程度の文章から始めてみようと思うのですが、 原作の小説と映画化された作品を比べるという行為ですけれども、 それ意味有るの…

小説『透明人間』 と 映画『インビジブル』

透明人間はフリチンなんですが、 どうやらこのことが気になる人がこの世の中に相当いらっしゃるようです。二つのキーワードで検索すると、いくつもブログが出てきますし、それ以外に AV 透明人間 のキーワードで検索すると、やはり、その手の映像作品がいく…

透明人間はフリチンで

透明人間作者: ハーバート・ジョージウェルズ発売日: 2012/10/07メディア: Kindle版 クリック: 3回この商品を含むブログを見るもしこの文章を読まれた方で、『透明人間』を読まれたことがないのでしたら、ぜひ読んでみてください。青空文庫にあげられている…