映画論

シド・フィールドの脚本術 

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術 作者: シド・フィールド,安藤紘平,加藤正人 出版社/メーカー: フィルムアート社 発売日: 2009/03/31 メディア: 単行本 購入: 55人 クリック: 290回 この商品を含むブログ (44件) …

映画術 俯瞰図 『乱れる』

映画術 その演出はなぜ心をつかむのか作者: 塩田明彦出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2014/01/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見るこちらの本の一章で取り上げられている『乱れる』 ですが、 この映画に限ったことでなく、 大体…

映画術 こだわりと象徴 『Laundry  ランドリー』

蓮實重彦が立教大学の教授だったときの伝説の授業と言われているものは、 こんな感じだったらしいです。まず、「未知との遭遇」を見せる。未知との遭遇 ファイナル・カット版 (1枚組) [DVD]出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント発売日:…

映画術 動線 『隠し砦の三悪人』 『スウィングガールズ』 そしてその限界 『デンジャラス・デイズ〜メイキング・オブ・ブレードランナー』

画面上の左右の方向に、ポジティブとネガティブの意味を与える。そして、画面上の物質をベクトルと動線として考える。そのような画面の構成法では、クライマックスはどのように演出されるのでしょうか? 黒澤作品『隠し砦の三悪人』を取り上げて考えてみたい…

映画術 進行方向についての疑問 『乱れる』

どうして、現在のほとんどの映像作品は、画面の進行方向を意識して構成されているのでしょうか?移動のシーンでは、行程全てを映し出しているわけではありません。移動したという事実を表現したいだけで、移動しているシーンを全て映すことはまずありません…

映画術 動線 『タンポポ』

『生きる』は画面上の→の方向をポジティブであるとみなし、生を描いています。 そして、←の方向をネガティブとみなし、死を描いています。 だから、志村喬が自分の中に巣食う死の影を見せて相手を怯えさせるときは、常に←向きの顔です。 画面を左右の方向で…

映画術 ポジショニング 『ごちそうさん』から

日本の映画、テレビドラマの画面は このように構成されています。画面の上には物語の進行方向が仕組まれており、その方向の奥には物語のゴールが待っています。主人公は、物語のゴールを目指して進むのが普通であり、それゆえ、主人公の基本立ち位置は 日本…

映画術 第二回 動線  『サウンド・オブ・ミュージック』

前回『オズの魔法使い』で少し触れましたが、映画の画面上の演技は 画面の進行方向との兼ね合いで成り立つものです。ミュージカルでは登場人物の感情が高ぶってきた時に、歌が始まるのですが、 歌を歌っている時の演技は非常に誇張された様式化されたもので…

塩田明彦 『映画術』

映画術 その演出はなぜ心をつかむのか作者: 塩田明彦出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2014/01/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る俺が買わずに誰が買う?というべき本であり、 半日かけて夢中で読み終えました。 このブログの始…

『映画術』 第一回・動線  『生きる』

映画術 その演出はなぜ心をつかむのか作者: 塩田明彦出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2014/01/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見るもし中二の時に、今と同じくらい映像作品のカラクリについて理解していたなら、自分は映画監督目…

映画の見方  三秒ルールについて

人間は、三秒までなら、どんな画面でも退屈せずに見ていられる、 それが、三秒ルールです。 まずは、こちらの動画をご覧下さいませ。 Mickey Mouse - Musical Farmer (1932) 非常に古い作品です。 そして、人によっては面白いと思われる場合もあるでしょうけ…

『続・エマニュエル夫人』  『檸檬のころ』 BGMのBPM

このシーン BPM(心拍数)100くらいでしょうか?Фильм Эммануэль 2 (1975) メトロノームの目盛を見ると下限が40上限が208で、これは一般的な音楽のBPMの範囲であると同時に、生きている人間の心臓が一分間に可能な拍動数の範囲でもあります。 椅子に座ってい…

音と映像について思うこと

[02 Physical Beats 160 BPM:title]BPM 値はおおむ. ね安静時の母体の心拍 BPM 値(70〜80)を中心として 赤ん坊にもさーかディアンリズムがあるのではなかろうか、という予測が立ちます。 Perfume BPMで検索すると、また、この方のブログに出くわす。いちい…

映画の法則⑤試論  誰目線

映画は、カメラの位置を操作することにより、誰の目線で物語を見ているのかを強制させられているのですが、 では、 『ジョーズ』のサメ目線の謎 別に、あれ見て、私たち、サメになったつもりになってるってことないですしね。 ただカメラの目線が、サメの存…

『おにいちゃんのハナビ』 見ることは難しい

映画の見方 目次 このブログで私が語っていることというのは、普通の観客は画面が右に動こうが左に動こうが、人物の向きが右から左に切り替えられようが、そんなものを全く「見ていない」ということでして、目には入っているんですけれども、脳に入ったあと…

映画の法則④  文法

日本語の文法はSOVです。それに対して中国語はSVO。どちらか一方が不合理で、どちらかだけが合理ということはないでしょう。二通りの文法があるということは、恐らくそれぞれに言い分があるのだと思います。「私はリンゴを食べる」という文について考えてみ…

映画の法則 ①  表現すること = 目で見てわかること

以下の内容を読まれるのでしたら、こちら(映画の抱えるお約束事)とこちら(映画の抱えるお約束事2 日本ガラパゴス映画)をどうぞ。当ブログの理論についてまとめてあります。 臨床心理学に「箱庭療法」というものがあり、精神患者に小さな箱庭を作らせて、…

映画の法則②  同じ形 同じ動き = 同じ内面

以下の内容を読まれるのでしたら、こちら(映画の抱えるお約束事)とこちら(映画の抱えるお約束事2 日本ガラパゴス映画)をどうぞ。当ブログの理論についてまとめてあります。 ひとたび立ち止まって考えると、不可思議なことはいくらでもあります。例えば仮…

映画の法則③   クライマックス

以下の内容を読まれるのでしたら、こちら(映画の抱えるお約束事)とこちら(映画の抱えるお約束事2 日本ガラパゴス映画)をどうぞ。当ブログの理論についてまとめてあります。 映画のクライマックスはどのように画面が動くのか、についてですが、黒澤作品『…

『十戒』 33年間で映画はどう変わったのか

はじめにこっち(映画の抱えるお約束事)をお読みになるとよろしいかと思います。以下の内容の理論的前提になっておりまして セシルBデミルは1923年と1956年に『十戒』を発表しております。自分で監督した映画を33年後にリメイクしたわけですが、最近で言う…

第一次大戦を映像化すること   『パイプスオブピース』

以下の内容を読まれるのでしたら、ついでにこちら(映画の抱えるお約束事)もどうぞ。当ブログの理論についてまとめてあります。映画は戦争によって進化した、というデンパを私はこのブログの中で放射し続けています。 画面上での登場人物の配列を、物語をポ…

映画を見ているとき、人は如何に画面の方向を無視しているかについて 『ブルーマックス』

以下の内容を読まれるのでしたら、こちら(映画の抱えるお約束事)もどうぞ。当ブログの映画についての理論がまとめてあります。 前回の内容は、第一次大戦の塹壕戦の映像化とサッカー中継の共通性についてでした。 二つの陣を−>と<−に割り振り、赤が攻め…

赤裸なお約束事  『塹壕にて』ニコニコ動画より

以下の内容を読まれるのでしたら、まずこちら(映画の抱えるお約束事)をどうぞ。当ブログが用いる理屈についてまとめてあります。 ここ数回の私の書いている内容というのは、映画というのはサッカーとかラグビーみたいなもんということなんですわね。 物語…

『時をかける少女』   タイムトラベル映画の画面進行について

以下の内容を読まれるのでしたら、こちら(映画の抱えるお約束事)とこちら(映画の抱えるお約束事2 日本ガラパゴス映画)をどうぞ。当ブログの理論についてまとめてあります。 ちょっと『時をかける少女』の映画とはそれた話をしますけれど、この電波ブログ…

映画論 と 「北枕」

以下の内容を読まれるのでしたら、こちら(映画の抱えるお約束事)とこちら(映画の抱えるお約束事2 日本ガラパゴス映画)をどうぞ。当ブログの理論についてまとめてあります。 私、半年くらい、この映画の進行方向の事を考えているのですが、 1960年代半ば…

『檸檬のころ』 実写映画での「北枕」

以下の内容を読まれるのでしたら、こちら(映画の抱えるお約束事)とこちら(映画の抱えるお約束事2 日本ガラパゴス映画)をどうぞ。当ブログの理論についてまとめてあります。 前回に、宮崎駿作品群はファンタジーである故に、非現実的方向に目覚める登場人…

イメージの世界

子供に夢で見た光景を絵に描かせると、夢を見た当人がその絵の中にいたりするまた夢とはいわずに、夏休みの絵日記でもいいんですが、体験したことを絵に書かせれば、ほとんどの場合自分の姿がその絵の中に描かれるものです。いわば、彼らは主観目線にあまり…

図解してみる

以下の内容を読まれるのでしたら、こちら(映画の抱えるお約束事)とこちら(映画の抱えるお約束事2 日本ガラパゴス映画)をどうぞ。当ブログの理論についてまとめてあります。 ネット検索しても、画面の進行方向について書いている人はどうも私しかいないよ…

全ての映画は戦争映画

以下の内容を読まれるのでしたら、こちら(映画の抱えるお約束事)とこちら(映画の抱えるお約束事2 日本ガラパゴス映画)をどうぞ。当ブログの理論についてまとめてあります。 私、つきづき些細な金額を支払って、このブログを閲覧した人の状況をチェックし…

『blue』 見えない心をどうやって見えるように表現するか、について   

『blue』2003年。 安藤尋監督作。市川実日子モスクワ国際映画祭最優秀女優賞。新潟の女子高生二人、卒業後に東京に出ていった一人と地元に残った一人、 音楽は大友良英。 全然別の世界観ですが、『あまちゃん』とすごく似ています。「blue」予告編 - YouTube…