わたし、谷村美月のファンなんですが、
映画を見ていて、彼女がどのキャラの声担当してたのかが分かりませんでした。
見ている間、ずっと、雪の声が谷村美月だと勘違いしてました。
そういやあ、彼女の映画初出演作での役の名前もユキでして、
感慨深いな〜と思いつつ見ていたんですが、
そんで、いつもと違う、思春期的な幼さの残る声で、
さすが谷村美月、演技力半端ねえ、とか恥ずかしいこと思っていたのですが、
ぜんぜん違う人、黒木華さんでした。
谷村美月が担当した、土肥の奥さんって誰だったんでしょう?
超絶チョイ役だった模様です。
てめえ、細田、いい加減にしろよ、谷村美月が声やってるっていうから、それなりの役だと思って勘違いしちまったじゃねえか、と怒りたくもなったんですが、
この映画、演出がどうの出来がどうのという以前に、企画の段階でまず非常にすばらしい。
観客が何求めているのか、どういう需要があるのか、それに対してどのような作品を作れば、出資者はニコニコしてくれるのか。そして観客は満足できるのか。ひいては、そのような作品を成立させることは今後のアニメと映画業界の発展に寄与できるはず、ということをすべて満点に近い形で示した企画が、この映画でしょう。
見てるとすぐ分かると思いますが、ジブリ映画の亜流?という雰囲気ですし、これと似たテイストのジブリ映画って、『隣のトトロ』『思いでぽろぽろ』『もののけ姫』など、瞬時にいくつも思いつきます。
去年は『コクリコ坂からこんにちは』ってジブリ映画がありましたけど、今年は、ジブリ映画ないんで、
その穴を埋めてほしいって要望は映画会社にとっては当然のこと。
んで、ジブリが夏休み映画で果たしてきた役割ってのを考えると、
林間学校の代替だったり、ちょっとした肝試し大会の代替だったりします。
この不景気に子供つれて、山の奥までキャンプにいけるかよという親御さんや爺婆にとっては、たかだか一人千円程度でそれら自然に親しむ行為の代替ができますし、
ついでにためになる知識を得たり、人生について哲学するきっかけつかんだりできるんですが、
それらを、ことごとく満たしうる規格になっております、この『おおかみこども〜』
ついでに言うと、ご当地映画としても、ご当地の名所や特産品を連呼して観客赤面させるようなところもありません。
舞台は、どこでもよい、架空の場所でもよいのでしょうし、
現実にはどこかということをはっきりいったりはしないのですが、
観光客誘致できたり、都会の老人の移住希望者にアピールできたりでで、地元の役場ホクホクでしょう。
地元企業巻き込んだビジネスとしてご当地映画が成り立っているとしたら、そういう人たちの希望はしっかりかなえてあげなきゃだめだとわたしは思いますよ。
「俺はとりたい映画とる。金出すまでは田舎もんの言うこと聞いてやるけど、あとはシラネ」みたい焼畑ご当地映画はだめだろう、と。
この映画、細田守氏の出身地ですから、逃げも隠れもできないわけで、その点でもプレッシャーはあったと思われますが、
このご当地映画の問題も、ほぼ完璧にクリアしています、この映画。
演出がどうのとか、監督の力量がどうのという前に、非常によくできた企画であり、
この企画の時点で、ほぼ勝利がきまっていた映画だ、とわたしには思われました。