以下の内容を読まれるのでしたら、こちら(映画の抱えるお約束事)とこちら(映画の抱えるお約束事2 日本ガラパゴス映画)をどうぞ。当ブログの理論についてまとめてあります。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110123/ent11012308250040-n1.htm
そんな谷村美月(20)が「家族で囲む食卓の大切さ」に共感を覚えたのが、最新出演作「おにいちゃんのハナビ」(国本雅広監督)。
「何が何でも家族で食事したいと、小さなことにこだわる自分がいるんですよ。私にひきこもりの兄がいたら、外に連れ出そうというところまでは共有できませんでしたけれど…」
食卓の大切さといえば、「カナリア」の映画でも食事のシーンが三回あり、食事の場面によって幸せの具合を表現するということは、谷村美月には既に経験済み。
それに、男のケツを蹴っ飛ばして前に進める女の子の役も「カナリア」の方で経験済み。
「私にひきこもりの兄がいたら、外に連れ出そうというところまでは共有できませんでしたけれど…」
少し笑える。
おにいちゃんのハナビ、その一見したところの題名の気恥ずかしさと、なんでここまで妹がおにいちゃんのこと好きなんだ?という点。
ほとんど萌ゲー、エロゲーの世界なんですが、
それについて違和感を彼女は、持っていたんでしょうね、まあ、だからそのぶん、客観的に、分りやすいモエを演じることが出来たのでしょう。
弱点が無い妹には萌えない、もしくは、兄の立場としては、年下の妹の弱点は知っていて当然であり、観客にその兄の立場を共有させるには、妹の諸々の弱点を示しておく必要がある。
妹は、食う寝るの類の欲望には弱い存在で無いといけない。
ガツガツ弁当を食べる谷村美月。ただし、食欲旺盛なのはいいが、それはあくまでもやせの大食いで無ければならず、くいしんぼで太っていたらそれはただのデブ。
この場面は、谷村美月を斜めから写し、痩せの大食いを演出している。
しょうめんから映すよりも、細身に映るので。
基本的に妹は、子供っぽい。それでなくては、付け入る隙が無い。
「うわぁって、アンタそういうキャラじゃないでしょ」
「いやいや」と手を振る谷村。
このシーンが笑いを誘うのは、彼女の手演技が過剰な為。
彼女の指は、体に不釣合いに長い。
それで、自分の顔に手を当てると、他人の手のように見える。
「いやいや」と手を振る時の演技では、自分の手の大きさを一切隠していないので、おっさんくさいユーモラスさがかもし出ている。
逆にアイドル路線の仕事の時は、自分の手が過剰な存在感を持たないように、気を配っていた。
以上の、妹の弱点を示す時の谷村美月は全て−−>むき。
妹は、子供っぽくてバカっぽいというイメージを隠れ蓑に、さりげなく本心を言うことが出来る。
「退院おめでとう」
「えっ、なになに?」
おにいちゃんの歯切れの悪い、愛情の示し方にダメ出し。
ダメ出ししておきながら、おにいちゃんの示した不器用な愛情に応えるように、腰に手を回す。
(キモいといえば、まあ確かにエロゲーっぽいんですが)
抱きついたのが、愛情からじゃないんだからね!とでもいわんばかりに、アリバイ作りに、「バイト代出たら携帯かって」と話をすりかえる。
「なんでだよ」
「えーっ、クラスで持ってないのわたしだけだよ」
ツンデレのツンそのままに、おにいちゃんの背中にアゴをつきたてる。
「そしたらその分、花火につかってよねー」
妹、もしくは年少者は、家族内で力が弱いので、常に周囲の顔色をうかがうことに敏。人の心を読むのが上手い。
携帯も、何もどうでもよくて、最初から実は、おにいちゃんの社会復帰のことだけを考えている妹、実にけなげ。