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『イコライザー』  えらい人の通俗的イメージ

 

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 映画の冒頭で主人公の住処が舐めるようなカメラワークで紹介されます。

七時半の朝日の中で、かなり無茶なジュースを作りそれを飲み干す主人公。

アメリカ人的には、これ健康的な飲料なのかもしれませんが、なんか違うような気がしました。

そして、朝から変なもの飲んでるからこんなに腹出るんだよ、と思ったのですが、

 

この腹の出た男、デンゼル・ワシントンだったんですね。

デンゼル・ワシントンといえば、それまでの黒人には許されてこなかった白人だけに許されていたヒーロー像を演じてきた開拓者というイメージがあったのですが、

 

そんな彼ももう還暦で、そりゃ腹も出るだろうし、

それ以上に、いつまでも「黒人がこんな正当なヒーローを演じてる!」って違和感ただよわせつづけていることもないはずなんですが、

 

この『イコライザー』って映画、一言でいうと必殺仕事人でした。

黒人の悲哀とか、人種差別的状況とか、そういうのはどこにもなくて、あきれ返るほど単純なヒーローでした。

 

スタバで読書する人をネット上で笑う風潮があります。本なんか家で読め、寝る前にベッドで読めば十分だろ、と。

私もそれに同意するのですが、

この主人公、カフェで毎晩読書することにしています。

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 そこでクロエ演じるロシア移民の売春婦と出会い、ちょっとだけ仲良しになります。

来たばかりの移民が過剰にアメリカに同化しようとする意識の表れが、アメリカ国旗のデザインされた服を身にまとうことで示されています。

クロエ、独特な体形してまして、小顔で手首足首細いんですが、肩にはむっちりと肉がついてます。肩の臼の方が顔よりでかいかもしれません。

 

そんな彼女を売春婦の道から足を洗わせるために元締めのロシアマフィアのアジトに交渉に行って、交渉決裂すると突如仕事人に変貌するというむちゃな物語なのですが、


映画『イコライザー』予告編 2014年10月25日(土)公開 - YouTube

 

話はちょっと飛びますが、世の中には偉い人のテンプレがあると私は思います。

ブッダにしろキリストにしろ神格化されてしまい、あることないことごたまぜにした伝説によって生涯を語られることになってしまったのですが、

二人とも売春婦には優しい一面があった点で共通していますし、それはえらい人のテンプレ属性の一つとして今日も認識されているようです。

 

全然聖人ではないのですが、『タクシー・ドライバー』にしたところで売春婦には優しかったです。

そして、売春婦に対して優しいというのは、その稼業から足を洗わせようと辛抱強く対処することでして、チップをたくさん弾むとか嫌がるプレイをしないというのはエッチなおじさんにすぎないのでしょう。

 

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ラストで晴れて売春家業から足を洗ったクロエの姿。クロエは映画の最初と最後にしか登場しないのですが、登場シーンごとに髪型と髪の色が変わります。

 売春やっているときは髪が黒なんですが、更生した後では金髪になってます。

普通、逆じゃないか。売春やると金髪に染めるんじゃないかという気がしますが、私あんまり売春婦に詳しくないのでホントのことは分かりません。

 

まあ、この映画の中では黒髪が東欧から来たばかりの売春婦のイメージ、アジアの血の混じった人のイメージなのに対し、

当たり前のアメリカ人になると髪の毛金髪というイメージ、

それが多数派のアメリカ人の感じ方なのかもしれません。

 

この映画、売春婦に優しい以外に

友達甲斐があるとか、それ以外にも部屋がきれいとか、生活が規則正しいとか、仕事にまじめだとか、夜は読書して教養高めているとか、

現代人の思いつきそうな通俗的えらい人のテンプレという風で、興味深かったです。

 

そして、もちろん強くなくてはアメリカのえらい人は務まらないので、主人公むちゃくちゃに強くて、

強すぎて、なんか見ててあほらしくなって、ところどころで居眠りしてしまいました。

 

私、週に三日はホームセンターで買い物するので、主人公の職場がホームセンターだというところ親近感湧くのですが、

DIYもそれなりにやるのですが、それでも自分で小屋一軒建ててしまおうとかそこまではいきません。

アメリカの田舎に行くと自分で車庫たてちゃうような人はいくらでもいて、場合によっては住む家も建ててしまうらしいんですが、

ホームセンターで主人公が働いている姿から、家の一つや二つ自分で建ててしまうような生命力の旺盛さや一人でも生きていける独立心の強さを連想してしまいました。

 

アメリカ人バカにしたがる日本人はたくさんいるのですが、バカにする前に犬小屋の一つでもDIYしてみたまえとは思います。

 

そして最後のドンパチの場がホームセンターなのですが、ホームセンターの工具が武器になります。

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ドリル以外に電ノコとかハンマーとか凶器になりそうなものがうじゃうじゃあるのがホームセンターですし、そういうものを家に蓄えているのがDIY愛好者だったりします。

 

強盗として他家に入り込むなら、犬小屋とかデッキとかのDIYの痕跡のない家を選ぶのが正しい選択なのだろう、そう感じ入った次第です。