アメリカで一番有名な州をカリフォルニアとしますと、一番マイナーな州はどこだろう?
ネットで調べてみたりするのですが、
メイン州の可能性がかなりあります。
メイン州はスティーブン・キングの出身地であり、彼が今現在豪邸を構えて住んでいる場所であり、彼の小説の舞台はほとんどメイン州である、
ということ以外には、
アメリカで一番マイナーな州である可能性は否定しがたいものがありますが、
ロード・アイランド州 こちらもマイナー州の有力候補。
それもそのはず、アメリカで一番小さい州で、面積・人口ともに石川県程度。
アメリカは大きい国、州一つで国一つの規模、と思い込んでいると、日本の小さめの県と何も変わらないスケールに唖然とさせられます。
アメリカの東海岸の北の部分は、ニュー・イングランドと呼ばれ、
清教徒の最初の入植地であり、
地図を眺めると、ニュー何とかという地名がやたらと多く、清教徒たちがかつてイギリスに住んでいたところの地名をこの地に付け直したのだと思うのですが、
ニュー・ロンドン(なんかネオ東京みたい)なんて地名もあります。
スティーブン・キングの小説をキンドル版で読んで、知らない地名を随時ネット検索すると、いろいろと面白いことがわかるのですが、
読書が今のような形でネットに接続していなかった時には、
こういう地名って、ただの文字の羅列にすぎず、コネチカットとか言われても、日本人の読者は吉祥寺の光景を思い浮かべていたりしてたのですが、
では、アメリカ人はどうなのか?というと、
おそらく、当然日本人のイメージ力よりもましなのでしょうけれども、
それでもカリフォルニアの人にとっては、メイン州とかロードアイランドとか言われても、なんか漠然としたイメージはあっても、とりたててどうだこうだ的なものはないと思われます。
無論逆に、ニューイングランドの住人にとっては、西部のコロラドとかオークランドとか漠然としたイメージはあっても、とりたててどうだこうだ的なものはないのですから、、
『シャイニング』のロケ地ですと、そういうのが入り乱れて、小説や映画の架空の場所のイメージを構成しています。
ちなみに、
『スタンド・バイ・ミー』ですと、
Stand By Me (trailer) - YouTube
小説の舞台設定はメイン州ですが、映画のロケ地はオークランド州で太平洋側です。
同緯度ですから、気候的にも植物生態的には似たようなものなのでしょうけれども、
直線距離でいうと、日本からハワイくらいです。または大西洋の横断距離とほぼ同じです。
こういう条件を考えますと、
アメリカ人が映画の中で中国もインドも日本もごちゃまぜにしてしまうのは、仕方のないことなのかもしれません。
『キャリー』 1976年 ブライアン・デパルマ監督作。
Carrie (1976) - Original Trailer - YouTube
小説ではメイン州のとある町が舞台なのですが、
映画では別にどこの町であるとかは特定できない架空の場所ということになっています。
都会ではなく、かといって田舎すぎず、ほどほどに自然があって、人種構成的にも白人が主流であり、
なんとなく、アメリカ人の心の中にあるアメリカ的な光景らしい、と外野の日本人からも思われる場所です。
これ、日本の場合ですと、歴史が長く、都市の成立にしがらみがありますので、
どこかのとある田舎町、というアメリカ映画によくある設定がなかなか成立しません。
細かい点に着目すると、必ず日本のどこであるかがばれてしまいます。
それだから、ひらきなおって
どこかの自治体の補助をうけて、町おこし映画的に堕してしまうのですが、
『キャリー』は
特定の場所での惨劇ではなく、アメリカ人にとってのあり触れた場所での惨劇であるゆえに、見ているアメリカ人には実感があるのでしょう。
そのうえ、アメリカの高校生にとっては誰でも思うところのある物語ですし。
一方、こちら、2013年のリメイク。
Carrie - Official Trailer #1 (HD) Chloe Moretz - YouTube
相変わらず、アメリカのとある町が舞台になっているようですが、
人種の構成比率に関しては、この二作品はおおきく変わってしまいました。
ニューイングランドは白人比率の高い場所なのですが、メイン州は白人比率の高さでは全米一の州で、95%。
だからでしょうか、1976年の『キャリー』ではクラスメイトにマイノリティーがいませんでしたが、
2013年のリメイクでは、クラスメイトの中に、黒人、アジア系、ヒスパニックなどのマイノリティーが20%くらいいるようです。
ちなみにアメリカ全体の平均では、白人比率が75%。
もっとも、メキシコ移民とはいえ、インディオの遺伝子割合の低い人は外見上白人ですし、
また異人種間の混血の場合、白人としてカウントされるのかどうなのか?という点を考えると、何をもって白人比率75%なのかはよく分かりませんが、
2013年版の『キャリー』の学内の様子を見ていると、こんな感じの人種構成比がどうやらアメリカ人的には平均的でありがちらしい、という気がします。
ブサい上に、宗教にはまった母親に育てられ、メンスについて何も知らないいじめられっ子。
そんな女の子が、恋して、「あれ、結構かわいいじゃないの」
となっていく。
そういう役って、シシ・スペシクが演じるから似合うわけで、
キラキラ感が最初から半端ないクロエ・モレッツにどうしてこの役が来たのか、悩むところです。
つまり、誰が見てもクロエ・モレッツは可愛い、という点でミスキャストなのですが、
逆に、シシ・スペイシクは、『キャリー』に出たために、半端ないブスというイメージが定着してしまいました。本当は、そこまでブスではないのですが。
そういうのを無視して、『キャリー』での女優の本領発揮シーンは、
豚の血を被せられて、怒りに我を忘れたときの容貌。
ブサいとか、実は結構かわいいとか、そういうのも配役上は大切なポイントなのですけれども、
モンスターとして美しいかどうか、インパクトがあるかどうか、が一番大切なポイントなわけで、
この点に関しては、1976年の『キャリー』は大変素晴らしい出来でした。
では、リメイクの方ではどうだったのかというと、
あんまりよくないです。
でも、
顔面の血のりの付き方が、明らかに『キック・アス』のヒットガールの覆面を想起させてくれます。
なるほど、そう来たか、彼女に観客が求めるものは、やはりヒットガールなのだな、と。