『クリスティーン』  逃げ場なし

 

 

 

スティーブン・キングの映画の中では、かなり面白い部類の作品。

 

 自分の世界観を形作った作品って『ドラえもん』なのだなあとつくづく思うことが多い。分別つかない子供の時に暇に任せて繰り返し繰り返し読んだので、強烈に頭の中に刷り込まれているみたいです。

女の心と意志を持つ車が嫉妬にかられ、持ち主の彼女が助手席に座ると嫌がらせするとか、『ドラえもん』で似たような話読んだなとすぐに思ってしまう。

スティーブン・キング、さすがにドラえもんを読んだりはしてないでしょう。

ま、『ドラえもん』の元ネタっていろんなところにありますから、『ドラえもん』っぽい話って石投げれば当たるくらいの確率で出くわすもんです。

 

 

ま、それはいいとしまして、

 

最近『アンダーザドーム』を見まして、

 

 

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 住んでる街が同盟のドームに覆われて閉じ込められた人たちのドラマです。これはホラーとはちょっと違う物語りなのですが、

そういえば、ホラーって登場人物が閉じ込められるという状況設定がどうしても必要なのでしょうか?

スティーブン・キングに限ってみても、

『シャイニング』『クジョー』『ミザリー』『ミスト』がそうです。

キングに関係ない映画でも『ジョーズ』『エイリアン』なんかも逃げ場のない極限状況を映画いています。

そして、閉じ込められる範囲を田舎町という少々大きい単位とするなら、スティーブン・キング自らお気に入り『死霊伝説』がそうですし、もしかすると『キャリー』とかこの『クリスティーン』もそうなのかもしれません。

 

Christine (1983) Trailer - YouTube

 

アメリカの田舎町って、隣の町から何十キロも離れており、公共交通機関も貧弱ですから、車がなかったらやっていけない。

ガソリンスタンドが機能しなくなったら、もうそれで陸の孤島

だから逃げ場のない閉鎖状況を作るには、ガソリンスタンドの火事のシーンが必要なのかもしれません。

 

『クリスティーン』にガソリンスタンドが爆発するシーンがありましたが、

リメイク版の『キャリー』にも同様なシーンがありました。

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逃げ場のない閉塞状況といいますと、『クリスティーン』の車は五十年代のおんぼろ中古車で、車はしゃべる代わりに状況に反応したロックンロールをカーステレオから流すのですが、それらがすべて懐メロ。

そして、そんな車を愛して魂を抜かれた主人公の服装いでたちは『理由なき反抗』のジェームス・ディーン。

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まんま『理由なき反抗』のパロディ・シーンまで用意されています。

 

この物語の主人公、小さな田舎町に閉じ込められているだけでなく、時代の流れからも締め出されているということらしく、

まさに逃げ場なしといったところです。

 

 

60年代に盛り上がった若者文化が70年代80年代と退潮していく状況にいら立ちや失望を感じていた人にとっては、いじめられっ子でなくとも、車好きでなくとも、共感可能な主人公像です。

とことんいけてない人の立場から見た『アメリカン・グラフティ』といえる作品かもしれません。