「作者はこの作品において何を言いたかったのか?」
「この作品のテーマは何か?」
などという問いかけの仕方を、私たちは不幸なことに小学校や中学校の国語の時間で刷り込まれてしまいます。
War of the Worlds (2005) trailer - YouTube
題名が『宇宙戦争』(原題を直訳すると世界の戦争ですが)なのですから、『宇宙戦争』について描きたかった映画ですし、『宇宙戦争』をテーマにしている、
本当は単純にそう考えるべきですし、
題名をつけるとは、そういう風に作品がみなされるということについて作者は覚悟すべき、
いや、大抵の作者はそういう覚悟しているだろう、と私は思うのですが、
何を思ったか、小学校や中学校の先生たちは、題名つける覚悟体験がないのでしょう、
「言葉の裏に何かある」という、げすの勘繰りばかり子供たちに刷り込んでいます。
スピルバーグ監督作の『宇宙戦争』、荒唐無稽な話なのですが、911を体験したアメリカ人の実感にそぐうものであるというのはいいとしまして、
何やら、宇宙戦争を描きたかったというよりかは、どうしようもなく壊れてしまった家族関係について描きたかった、
もしくは、宇宙戦争を崩壊した家族の関係の比喩として用いた、
そんな風に見ている側には感じられてしまいます。
でも、本当のところは、逆なのではないか?
本当は宇宙戦争について描きたかった、しかし宇宙戦争なんて荒唐無稽なものにリアリティを持たせるには、
私たちがよく知っているはずの物事を多重露出して見せないと、空々しい作り事にしか見えないのではないか?
小中学校の先生たちが物語のテーマと呼んでいるものって、フィクションに実感を持たせるために利用されているだけなんじゃないか?
そう考えると腑に落ちる点が多いです。
911体験と崩壊家族の2点において観客にリアリティを感じさせている『宇宙戦争』ですが、
この夏公開される『Cell』は、スティーブン・キング原作で、彼自身が脚本にも参加しています。
Cell Trailer -Stephen King- - YouTube
『エスター』主役のイザベル・ファーマンが重要な役で出演しています。
さすがにあれだけ才能のある子役を映画界は放っておけなかったという感じで、金のかかった大作映画らしいです。
それはいいとしまして、
世界で一番有名な小説家と映画監督のスティーブン・キングとスティーブン・スピルバーグ、
名前も同じなら年齢もほぼ同じ、父親のいない母子家庭という共通点もさることながら、
似たような作品を発表し続けていながら、二人が直接一緒に仕事したことは奇妙なことに今まで無いようです。
この『Cell』にしましても、ものすごく似た内容の作品なので、一緒に仕事すりゃいいのに、とか思っちゃうんですけどね。