『ROME』を見たんですが、
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2008/03/19
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 56回
- この商品を含むブログ (27件) を見る
それで、古代ローマ史劇を年代順に並べて見ますと、以下の図のようであり、
アレクサンダー大王のマケドニアが弱体化してから 西ローマ帝国が滅ぶまでをローマの時代と考えますと、
映画化されたのは、紀元前1世紀から後2世紀の300年間 カエサルの時代から五賢帝の時代までに集中しております。
ハンニバルのポエニ戦争とかコンスタンツ大帝とか、探せばイタリア映画辺りにありそうですけれども、「ハリウッドで映画化、全世界が泣いた」という事はないようです。
そんなですから、映画で古代ローマについて勉強しようというのは、かなり無理があるわけです。
なんで、自国の歴史でもないのにアメリカやイギリスが古代ローマにこだわるのか?なんですが、
日本人でも自国の歴史でもないのに三国志にこだわったりします。
そして、日本人は三国志には興味あっても宋の時代とか清の時代に興味持っているのは ごく一部の歴史好きだけです。
どうやら、アメリカ人やイギリス人のローマ帝国についてのこだわりというのもそういうもののようです。
ローマが世界帝国として成立する姿に大英帝国やアメリカの覇権を重ね、カエサルの改革にアメリカの政治体制を重ね合わせる、
そんなだから、世界帝国未満のローマや斜陽になってギリシャに引っ越してしまったローマには一般人的には何の用もないのでしょう。
わたしたち、というか、わたしが思い浮かべる古代ローマの軍装はこのような感じです。
今まで見てきたローマ史劇ではこんな感じでした。
BBCのドキュメンタリー『ザ・ローマ』
カエサルから3世紀後のコンスタンツ大帝のころの軍装。
東ローマはトルコに滅ぼさつつも、その文化の多くはトルコに継承されるのですが、
軍装からして、以前のものよりも東方的な感じがしますし、王侯貴族の服装は中世ヨーロッパ的で指輪物語のようでもあります。
カエサルというのは全ヨーロッパ的、全白人的な英雄なのですが、
コンスタンツはギリシャあたりのローカル英雄に過ぎないのでしょう。
世界での興行的成功を望むのだったら、ローカル英雄ではなくより開かれた英雄を相手にしなくてはならなくなるわけで、
そうすると、カエサルとかジーザスとかになるわけです。
そして、そんな人物というのも、なかなか世界史にはいない訳でして、
ドイツのフリードリッヒ大王なんて人類史上の傑作のような人なんですが、あくまでもドイツローカルの英雄ですので、
世界での興行成功を目指すなら アンチヒーローとしてのヒトラーの方がずっと都合がいいのでしょう。
三国志オタや戦国オタが、歴史のテストでいい点数とっているかどうかというと、必ずしもそうでないというのがなんとなくわかります。