『海炭市叙景』 ロケ地を行く 

以前、神戸から上海行きの船に乗っていた時に会ったおじさんの話。

彼はチリに住んでいて、そこで現地人と結婚し、ホテルを経営しているとのことですが、自身が旅行する分には、ホテル代に金を払うのは愚の骨頂と言うポリシーを持っていて、宿泊先は、最低料金の宿ばかりだそう。
そんで、自分と一緒に上海の大部屋のあるホテルに泊まりにいったのですが、
自からホテル経営していても、というか、自からホテル経営しているからゆえ、ホテル代があほらしくなるのでしょう。

また、中年超えて旅行しているようなおっさんには、ホテルは最低でかまわない。眠れればいい。どうせ寝るだけだし、どんなところで寝ようと外国まで来ているんだから素敵な夢が見れる、みたいなことを言う人が多い。

なんだかんだで自分もそういう人間にほぼなりかかっているのですが、
函館では、駅の近くのいかにも安そうな民宿に行ってみたのですが、あいにくと満室。そんでその民宿の女将に近所の安ホテルを紹介してもらったら、
2800円の函館プラザホテルと言うところに投宿する事と相成りまして、
そこに泊まったら、妙に間取りが三浦誠己が泊まっていたホテルと似ているな、と。

部屋の幅が ベットより僅かに広いだけで、一応椅子が一個置いてあるのだけれども、ベットと壁の隙間が狭すぎて、そこに椅子おくことが出来ない。せっかく窓際の部分が机の代わりになっているのに、そこに椅子を置けないという、何か間違ったホテルなのですが、

後でネットで調べてみたら、どうも、本当に映画で使われたホテルらしいです。
奇遇な事に、ロケ地になったホテルに泊まる事になってしまいました。

函館ですから、海産物が旨いんですが、店で大金払うのが厭で、スーパーを回っていたら、旨そうな帆立貝とか売っていたので、このいびつな何か間違った間取りのホテルで刺身のパック5つ分!ビールと共に平らげました。
ホタテの刺身って旨いですね。



自分は、札幌から函館に電車で入ったんですが、函館駅の一つ手前の五稜郭駅付近にヤマダ電機とコジマ電気を見つけてしまい、おそらく、立ち退き拒否の老婆の家があるだろうと車窓から探すと、簡単に見つかったのですね。

んで、翌日に写真撮りにいったんですが、

他にも人が来ていて、写真とってました。
映画の中では、ここに住む老婆がソリにのせて市場に漬物を売りに行って生計を立てているのですが、その市場が、函館駅前の朝市で

歩いていくには、遠い距離ですわ。電車に乗れば簡単ですけど。

函館朝市は、観光客相手の一部の店は、やたらスレていてウザい。
スーパーで地元民が買う商品の3倍以上の品物ばかり売りつけてくる。
その反面、映画の老婆みたいなまるでぱっとしない商いをしている人たちもいて、一概にはなんとも言えない場所でした。


映画の終わり近くで市電に交わるように、各挿話の登場人物がほぼ一堂に会する場面があるのですが、あの時、竹原ピストルと谷村美月が電車通りを超えてのぼっていく坂、
あれを見つけたかったんです。

函館では坂のある箇所は観光スポット密集地区でピカピカに成っていますが、映画の中で二人が上る坂は、実にさびしい感じのしたところでした。

函館山に登る坂道なんて、たかが数が知れていますから、片っ端から写真を撮って後で映画の画像とつき合わせてみると、


ここでした。

ロープウェイ乗り場へ続く坂は、函館の一番の観光地で、どの坂も大抵きれいになって観光客向けの店舗が並んでいたりするのですが、
この坂は確かに地味でした。と同時に、ロープウェイに乗るなら、この坂を上りはしないのが本当のところ。



まああてずっぽうに散策してても行き詰るので、
函館文学館 入場料300円というところに行ってみました。


自分のほかに誰も訪問者がいなくて閑散としていたんですが、
当然のごとくそこに佐藤泰志のコーナーがあって、彼が小説を書く際に函館の町内に独自の名前をつけなおし、実際にはない公園や道路を書き込んだ手書きの地図が展示してありました。

映画のパンフレットがこういうものだったのですが、

この元ネタが展示してあったのです。

その小説上の設定だと、谷村・竹原妹兄の家は、函館山からかな離れた場所になっていました。
妹が、ロープウェイ乗り場までの坂を歩いたら足が棒になった、という記述が小説の方にはありますが、確かに、2キロ以上を歩いて、そのシメに坂を上ったら体力のない女だったら足棒になるかもしれないなとは思います。

その地図が面白くて、写真とってもいいかと館員の人に聞いたらあいにく写真撮影は不許可でして、
でも、代わりに映画のロケ地がどこだったのかをイロイロ教えてもらいました。


兄妹のアパート。
この立地条件は、よそ者には、まず分らんわ。
四軒長屋のうち、二軒分は空き家。

撮影ロケ地では、一般民家だったり、一般民家と隣接していたりで、迷惑に成るからあんまり教えたりしないそうですけれども、
自分、遠くから来てたことと、映画と小説について熱く語ったので、特例的に教えてもらいました。


後、この近くに加瀬亮がプロパンで足の指をつぶす場所がありまして、そこも教えてもらいました。

そういえば、足つぶした加瀬亮にタバコ吸わせてくれる男の背景に坂が見えたよな。
まあでもべつに、自分は谷村美月のファンで加瀬亮がこの場所で半泣きになってる演技してたことを思い起こしたところで、あんまり感激はできませんでした。あしからず。