ウルトラシリーズの視聴率について想う

伝説の子供番組の視聴率をウィキべディアで調べますと、いろいろ興味深いことに気が付きます。

 

月光仮面

月光仮面

 

 テレビ版の月光仮面は、1958年。 鞍馬天狗みたいな時代劇作りたかったけど予算的に無理で、こうなったそうです。

 

「日本初のフィルム製作による国産連続テレビ映画であり、日本のヒーロー番組の元祖」

「平均視聴率は40%、最高視聴率は67.8%」

 

 

一方、『ウルトラマン』1966~1967年

 

怪獣墓場

怪獣墓場

 

 「平均視聴率は36.8%、最高視聴率は42.8%」

すごい視聴率なんですが、『月光仮面』の方が上でした。作品のクオリティは天と地の差なんですがね。

 

ちなみに 『ウルトラQ』

最高視聴率39.2% 平均もおそらく30%越え。

白黒で撮影されたのと、ウルトラ兄弟が出てこないせいでしょうか、テレビで再放送がほとんどありませんでしたので地味な印象なんですが、視聴率的には『ウルトラマン』に遜色ないレベルです。

 

ちなみに『ウルトラセブン』1967~1968年

前半26本の平均視聴率は30.7%。しかし、『ウルトラQ』からの累積赤字が深刻化したため、第3クール以降は着ぐるみや特撮セットの費用の引き締めが行われ、等身大サイズで着ぐるみが不要の侵略者しか登場しないエピソード(第33話「侵略する死者たち」、第37話「盗まれたウルトラ・アイ」、第43話「第四惑星の悪夢」)も作られた。こうした展開が、ヒーローと大型怪獣との格闘戦を期待する児童層の視聴離れを招き、第36話「必殺の0.1秒」で視聴率16.8%を記録して以降、17%から23%の間を行き来する状況となった。

 

 

 

 

ちなみに『怪奇大作戦』1968~1969年

壁ぬけ男

壁ぬけ男

 

平均視聴率は22.0%

似たようなスタッフで、『ウルトラセブン』の後番組だったんですが、怪獣出てこないせいでしょうか、完全に傍流あつかいで、普通の人は知りません。

 

 

ちなみに第二期ウルトラシリーズ

撮影スケジュールの都合で番組が半年で終わった『ウルトラQ』や『ウルトラマン』だと視聴率は最終回付近までずっと高いままなんですが、

普通の番組ですと、だんだん飽きられ、視聴率が下がり、その都度テコ入れ策が講じられ、それでも視聴率が下がり… という感じでフェイドアウトしてくものですが

 

帰ってきたウルトラマン 1971〜1972年

平均視聴率 22.7%  最高視聴率 29.5%

帰ってきたウルトラマンの場合、視聴率低下後のテコ入れがうまく機能し、後半の平均視聴率はむしろ高くなっています。

 

それに対し、ウルトラマンA以降はじり貧となる人気の歯止めがきかず、てこ入れが入るたびに、子供だまし的要素が加味され、それがさらにファン層を限定させていき、『ウルトラマンレオ』では視聴率一桁代がほぼ確定。結局、ここでウルトラマンシリーズの黄金時代は終わります。

 

ウルトラマンA 1972〜1973年

平均視聴率 18.6%   最高視聴率 28.8%

 

ウルトラマンタロウ 1973〜1974年

平均視聴率 17.0%  最高視聴率 21.7%

 

ウルトラマンレオ 1974〜1975年

平均視聴率 10.3%  最高視聴率 17.6% 

 

その後、大映系で制作した『ウルトラマン80』や平成になってからのシリーズもありますが、

視聴率は一桁代。最近では2%くらいの視聴率で細々とやってるようです。

 

一応息の長いシリーズなんですが、初期の遺産で食いつないでる感が強いシリーズです。だからでしょうか、誰もが知ってる怪獣ってせいぜいが『帰ってきたウルトラマン』あたりまででしょ?最近のウルトラマンシリーズの怪獣ってどうなってるんでしょう?

 

 

それに対して仮面ライダーシリーズは、

 

『仮面ライダー』1971~1972年

 

第1話「怪奇蜘蛛男」

第1話「怪奇蜘蛛男」

 

 

平均視聴率 21.2%

最高視聴率 30.1%

ちなみに最低視聴率は第一回の8.1%で、ひっそりとはじまりつつも回を追うごとに視聴率を上げ二十三回目には20%を超えます。

意外なことに、藤岡弘がケガで療養中の二号ライダーの時期のほうが視聴率高かったんですよね。

 

その後のシリーズでじりじりと視聴率は落としていきますけれど、ウルトラマンシリーズと比べるとはるかに高い位置で安定し、平成シリーズになっても21世紀の初頭までは平均視聴率10%を維持し、今でもウルトラマンシリーズよりも高い平均5%で推移しています。

 

 

たぶん思うに、仮面ライダーって 一回一回の脚本の構成がウルトラマンよりも単純で、それこそAVみたいな構成してるじゃないですか、 

毎回毎回組織から繰り出されるにたりよったりの悪役、それに対するアクションシーン

そこそこのレベルで安定したものを供給し続けることができるんでしょうね。

 

それと比べると、毎回毎回 文明と自然環境の矛盾に着目し現代批評的な物語を毎回魔界供給しなくてはならないウルトラシリーズが質を維持するのがどれほど難しいのかがわかるような気がします。

 

シリーズすべてを通した場合、おそらく仮面ライダーシリーズはウルトラマンシリーズよりもずっと平均視聴率が高いようなのですが、

それでも、いつまでも心に残る物語とか悪役キャラってライダーシリーズには ほぼないのですよね。