『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』 面白かった

 

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

 

 押見修造作品の楽しみ方って、

彼が吃音の傾向があってうまくしゃべれない分、人の気持ちが表情とか姿勢から分かる人らしくて、

彼の人物の外見描写が内面を的確に伝えているらしいと信頼したうえで深読みすること。

 

ほんと、安心して深読みができる。

 

主人公の志乃ちゃんは吃音で、それが理由でひどい引っ込み思案になったのだけど、

彼女の親友で相方になる加代ちゃんも、相当な引っ込み思案で恥ずかしがり屋。

でも、割と強面で自分の弱さを素直に出すのが苦手だから、彼女のテレとか恥ずかしがってる様子とか、ためらってる様子は、

押見修造の外見描写あってこそ理解可能になってる。

 

彼女がいつどれくらい恥ずかしがってるのか、ためらってるのかは、彼女の頬の赤らみと顔面に付着した汗の粒の数で私たち読者は了解できる。

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大切なことをいうときに、ちゃんと相手の目をみて言えないような引っ込み思案。

ロック好きにありがちだけど、一見強面なんだけど昔はいじめられっ子だったとかスクールカーストは下の方だったとか、

加代ちゃんもそんな感じ。

 

彼女がものすごく恥ずかしがり屋の内気な人だということの何割を志乃ちゃんが分かっていたのかははっきり分からないけど、

志乃ちゃんが加代と友達になって一緒にいてリラックスできるのは、その恥ずかしがりやな内面のおかげ。

 

 

それが、かつて自分の吃音をひどいやり方でからかった男子と加代が話すとき、

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加代がとても自然に話せているので、志乃ちゃんは加代が本来の姿を取り戻し自分から離れていったと感じて孤独にさいなまれるようになる。

 

大好きな友人の加代ちゃんに彼氏ができて、自分とは少し距離ができたというのとは少々違うような気がする。

 

で、このバカの菊地って彼が言ったように志乃ちゃんのこと好きだったんだろうか、それとも、それはミエミエの嘘で本当は加代の方が好きだったのが志乃ちゃんには簡単に分かったんだろうか?

 

 

このマンガ、志乃ちゃんの吃音以上に加代ちゃんの内向的で複雑な表情が興味深い。

吃音そのものというよりかは、吃音の人からみた周囲の世界についてのマンガなのかなと思ふた次第。