『アンダ-・ザ・ドーム』  


海外ドラマDVD「アンダー・ザ・ドーム」予告映像 - YouTube

 

なんとなく見始めてしまい、シーズン2まで観了。

 

シーズン1の途中からすでに物語が破たんし始め、シーズン2が終わった後にまだ続きがあるといわれて愕然。

これ以上続けるのは完全に無理ゲー。

 

ほとんど一気見したんですが、

この手の長尺ドラマだと、2時間で締めくくられる映画と同じ技法が成り立ちません。

基本は週一でコツコツ時間かけて見られるはずの作品ですし、CMによる中断が13分に一度はいります。

それゆえにテレビドラマ特有のチープなリズムが生じるのですが、

 

基本ドラマの間中BGMが鳴りっぱなし。

BGMがどんな感情を表すかについてのセオリーはとっくの昔に出来上がっていますから、BGM聞いてるだけで、物語りの大枠を見失うことはまずありません。

それにCMの間にチャンネル変えられてしまうといけない訳で、CMの前には無理やり感旺盛な山場が作られることになりますし、CM開けからのしばらくの間は中断された緊張感を取り戻すためのウォームアップの時間にあてられています。

それに、必ず13分に一度は中断が入るために、延々と同一場面で同じ人物が何かする

ようなシーンも存在しえません。

 

つまりテレビドラマの特徴は、

せかせかと場面と人物が入れ替わり、作為的な小さい山場が13分に一度決まって挿入される、その上に誤解のしようもない断定的なBGMが鳴り響く、という、

頭悪そうな要素に満ちているのですが、

 

でも、全く楽しめないかどうなのかというと、ものによります。

 

もともとスティーブン・キングの原作自体、アホらしい話であり、

スティーブン・キングの作品すべてに言えることですが、誰でも思いつきそうなベタベタなアイデアを そこまでやるか的に突き詰めていくものであり、

2時間の映画よりもテレビドラマに似つかわしいものが多いような気がします。それに彼の小説2時間にまとめるには長すぎるもの多いですし。

 

そんなテレビドラマの長いゆえの利点といいますと、見ているうちにだんだんと登場人物たちに好意を抱くようになるのですが、

この点に関してはこのドラマ実によくできていまして、

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物語の舞台は謎が支配しており、そこにいるどの登場人物もなんか裏がある。

見るからに悪役っぽい人物もも、ぽつぽつとその人の良さを提示されると、それらの役柄に親密感を感じてしまうようです。

長編ドラマですからたくさん人が出てくるのですが、そういうやり方でキャラクター達を視聴者に印象付けていくのですが、

 

劇中でジュニアを演じるアレクサンダー・コック。

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70年代の頃のアルパチーノによく似てる上に、おそらくしゃべり方真似してるはず。

強権的な父親と葛藤を抱える青年の役なのですが、

これだけアルパチーノに似ているもしくはあえて似せていると、当然物語も『ゴッドファーザー』的な方向に流れるものと予感してしまいます。

 

また、彼の叔父役のエディー・ケイヒルですが、

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こちらは完全に『サイコ』のアンソニー・パーキンスを意識しています。

 

最初の数回は、派手な見せ場もあり、物語りの基本設定の面白さもありで、それなりに見ているうちに、だんだんとドラマの中の人物像に引き込まれていくという感じです。

 

 

ところで、この物語、スティーブン・キングのほかの作品のエッセンスがごった煮されたようなもので、「どこかで読んだような見たような」パーツがいくつも組み合わされています。

これスティーブン・キング自らがやっているから問題起きないのでしょうけれども、ほかの人がやったらパクリだといわれるんでしょうな。

逆にいうと、当人には自分の作品をパクる権利が認められているということなのでしょうか。