アメリカは面積が日本の26倍ありますが、最初からそんなに広かったわけでもなく、
1783年に独立を達成した時の州の数は13。この時だとせいぜい日本の面積の五倍くらいでしょうか。
そのあと、イギリスから五大湖周辺を割譲させます。
ピンク色が正式な州。黄土色は準州でまだ開拓の進んでいない地域です。
アメリカの歴史とは、入植者が原住民を追い出していく歴史なのですが、
西部劇のおかげで、私たちはインディアンは砂漠地帯に住んでいたというイメージを植え付けられましたが、入植者が来る前は大陸全土、東海岸までが彼らの居住地でした。
そして、入植者の開拓が進み正式な州に昇格した地域からはインディアンが駆逐され、準州では両者の間のいざこざが発生している途上、そう考えていいかと思います。
1803年、アメリカでの領土経営に目的を見失ったフランスからミシシッピー河の東側を買い取ります。
1818年、イギリスとの共有という形で太平洋側に領土が拡張されました。
ずいぶんと今のアメリカの国土に近づきましたが、それでも半分以上は準州で、未開発地域です。
1821年、メキシコとの領土調整。フロリダがアメリカに加わり、メキシコと国境を接する部分は直線的に区切られました。
1830年、東部のインディアンの土地とミシシッピ川以西の土地との交換を強制。フロリダ、ジョージアのインディアンが現在のオクラホマ州へと追いやられました。いわゆる「涙の道」と呼ばれる強制移住です。
私たちは、もしかすると私だけかもしれませんが、
カウボーイとは、植民開始当初からの入植者たちの生活スタイルと誤解しているのですが、
実のところ、カウボーイは、アメリカの歴史でも比較的に新しいものです。
本来アングロサクソン民族にはなかった牧畜文化が、北米のスペイン領内に入植者たちから引き継がれたものです。
それゆえ、西部劇の舞台は、かつてのスペイン・メキシコとの係争地に集中しています。
1836年、テキサス独立。メキシコ領内に入植し、多数派になると見るや独立宣言。
無茶やってます。
そしてその後十年にわたって、テキサス共和国として独立を維持してから合衆国に合流。
1847年、米墨戦争の結果、カリフォルニアとその周辺を獲得。
アメリカ本土がほぼ出来上がりました。
なお、翌年カリフォルニアで金鉱が発見され、ゴールドラッシュによる人口急増で、わずか二年でカリフォルニアは州に昇格。
サンフランシスコはアメリカの太平洋航路の基地として発展します。
1853年、ペリーが浦賀に来航し、捕鯨船のための開港を幕府に迫りました。
アメリカの領土拡張史と照らし合わせますと、かなり侵略的な意図を持った来航であったのは疑いようもありません。
1890年、アメリカ国勢調査報告書にフロンティアの消滅が記載されましたが、にも拘らず、というか、
それ故なのでしょうか、「ウンデット・ニーの虐殺」が起こり、300人以上のスー族が騎兵隊により理不尽に殺されました。
ちなみに、日本では憲法が制定され、第一回の衆院選挙が行われていました。
どっちが先進国だ?という気がします。
オクラホマは、インディアンの強制移住地だったので、準州から正式な州に昇格するのが遅れました。1903年オクラホマ州に昇格するのですが、
そのきっかけは、オクラホマの北、カンザス州を通る大陸横断鉄道にテキサスから牛を運ぶカウボーイたちが住み着いたことで、白人居住者の比率が増えたことだとか。
インディアンの強制居住地だったのが、白人入植者が増えたので、今度はインディアンの土地を取り上げて、白人入植者に分け与えたというものすごく理不尽な歴史を持つのがオクラホマですが、
『オクラホマ!』
Gordon MacRae - OH, WHAT A BEAUTIFUL ...
Oklahoma! - I Cain't Say No - YouTube
かなりアホらしい話のミュージカルです。
巨大企業の経営者は、ほとんどがサイコパスという研究があります。
また、組織をそれぞれの構成員の個性を無視して一つの人格として眺めてみると、組織はたいていサイコパス的なものに見えてしまいます。
個人としてはいい人なのだけれども、組織としてみれば理性も慈悲の心もない生存本能を追求するだけのサイコパス。
どうやらこれが人間と社会の在り方のようですし、最も巨大な組織・国家のばあいには、とてもよくあてはまるようです。
開拓期のアメリカ人も、個人としては『オクラホマ!』のように善良な人だったのでしょう。