日本の白地図を渡されてすべての都道府県名と県庁所在地を書き込める人は、実のところ少数派なのではないでしょうか?
日本のことでさえ、実は、自分の家から半径500キロくらいのことしか知らなかったりしますから、
外国のことなんて知らなくて当たり前だと思います。
いくらアメリカの映画を見たからって、アメリカに一か月旅行したからって、それでアメリカのことわかっているとは言えないでしょう。
『シャイニング』『ミザリー』の作者のスティーブン・キングの出身地がメイン州だといわれて、それ地図のどのあたりかわかる日本人ってどのくらいいるでしょうか?
キューブリック作品の『シャイニング』の舞台のホテルはコロラド州の山の中にあるということなのですが、コロラドってどの辺でしょう?
アイダホとかデラウェアとかバーモントって、食い物の名前じゃなくアメリカの州の名前だということ知ってる日本人って何%くらいなんでしょう?
というか、カリフォルニア州とフロリダ州とテキサス州以外、自信もって地図上を指させる州っていくつあるでしょうか?
(アラスカとハワイは誰でもわかるんですが、あれらがアメリカであるという気が私には今一つしません)
アメリカ人に、栃木県とか大分県とかについて了解しろ、というのはむちゃな要求だということは分かります。
だから日本人がサウスダコタ州とかアーカンソー州なんて聞いたことないってのは、仕方ないのかもしれませんが、
それでも、私たちは、しょっちゅうアメリカ映画見ているわけでして、知らず知らずのうちにアメリカの土地についていろいろ知識を得ているのですが、
それが上手く頭の中で構成されることがありません。
スティーブン・キングが書いていたことで、
マカロニ・ウエスタンの某作品の中では、アリゾナ州にシカゴがあるかのような会話があった、
とのことですけれども、これ笑える日本人ってほとんどいないわけでして、
そうなると、私たちのアメリカに対する知識、西部劇に対する認識も、マカロニ・ウエスタン並みのトンデモレベルであり、いや、おそらくそれ以下だと思われます。
『狼たちの午後』
Dog Day Afternoon - Wyoming Scene - YouTube
『ゴッド・ファーザー2』の翌年の作品。
アル・パチーノはゴッド・ファーザーの大成功により、一気に名声を手にしますが、その見返りとして、常にマフィアの切れ者二代目のパブリック・イメージにとらわれることとなりました。
どんな演技をしようとマフィアの切れ者二代としか思われないので、ふてくされてアル中になったそうです。
それでも酒飲んでいないときは、真面目に仕事をしていたんですが、
あのころは、マフィアの切れ者二代目のイメージを打ち消すために、あえて痛々しい役を選んでいたようなところがありました。
『狼たちの午後』、ダメ人間と池沼のコンビで銀行強盗を試みて、失敗する物語。
ゴッド・ファーザーでも共演したジョン・カザール(コルレオーネ家の次男役)に
「亡命したらもう帰ってくることできないんだけど、特に行きたい国ある?」と聞くと、
「ワイオミング」と答えます。
「ワイオミングは国じゃねえ」
このやり取り、アドリブだそうです。
この二人を突き放して笑っていいのか、それとも救いのなさに落ち込んでいいのか、判断に苦しむやり取りです。
ワイオミング州、面積は、日本の本州と同じくらい。しかし、その人口は鳥取県以下の60万人。州内の一番大きい街でも人口5万人程度。
ジョン・カザールが意図したIQ80のキャラクターでなくとも、アメリカ人にとって遠い場所という感じがします。
むろん、私は行ったことありません。