『おにいちゃんのハナビ』 見ることは難しい

映画の見方 目次


このブログで私が語っていることというのは、普通の観客は画面が右に動こうが左に動こうが、人物の向きが右から左に切り替えられようが、そんなものを全く「見ていない」ということでして、

目には入っているんですけれども、脳に入ったあとで、視覚情報を痩せたイメージ(たいていは言語的な要約)に圧縮変換しているのだろう、と私は考えています。

だから、目の前の映像には、多種多様な解釈が可能なはずなのですが、脳で圧縮されたイメージは、偏見とか在り来りな紋きり型な常識に沿ったつまらないものだったりすることが多いです。

だから、あらすじ要約できないような映画に対しての普通の人がもつ感想というのは「この映画は何が言いたいんだ?」というものでして、
普通の人は、映像を自発的に解釈しようとかそういう発想はないんだと思います。

まあ、映画とは、見ている人の脳裏のイメージ形成を、都合のいいように誘導する技術と言えるのでしょう。

とまあ、偉そうなこと言っていますけれども、
私がこのようなブログを書くきっかけになったのは『おにちゃんのハナビ』という映画を見て大泣きしたことでして、

なんで自分がこの映画を見て大泣きしなくてはならなかったのだろうという理由を考えていく中で、徐々にポツポツ気づいてきたことを記してある、まあ、日記なわけです。

DVDが発売されてから、30回以上はこの映画を見ているんですけれども、それでも、自分は多くのことを見落としていることに気が付かされるわけでして、

この映画、剛力彩芽の映画デビュー作なんですが、

剛力彩芽上戸彩の穴埋め要因として絶賛売り出し中の女の子ですが、
一年半前に、この映画見たとき、剛力彩芽という名前、知らなかったです。
ただしかし、谷村美月の友達役三人の中に可愛い女の子いるな、ということは最初から気がついておりました。
後になって、剛力彩芽が有名になってくると、「ああ、あの子か、なるほど、確かに可愛かったもんな」とは思ったんですが、彼女の役には、台詞一個も無いと、昨日までずっと思っていたんですね。
昨日、『おにいちゃんのハナビ』見てみたら、実はいくつも台詞あるんですよ。
30回以上この映画見ているんですが、剛力彩芽に台詞があることに気がつかず、単に笑ったりうなづいたりしているだけと私勘違いしていたんですわね。

これ、かなり衝撃でした、私には。
如何に、ちゃんと見ていないか、ちゃんと聞いていないかということを実感させられたのですけれども、

どうして、剛力彩芽には台詞がないと思い込んだのかについて考えてみますと、

彼女、予想よりも声低い。それも鼻詰まったような類の低さで、
剛力彩芽って顔が上戸彩のレプリカじゃないですか、だから声もその系統だと勝手に錯覚していたんですわ。
そんで、彼女単独のアップ画面もないですから、低い声で台詞言っても、顔と一致させることができなかったんですね。


ちなみに、ピンク色の着物の女の子、岡本玲という名前なんですが(実は結構有名な人らしい)、
彼女が三人の友達の代表みたいな役で、台詞いっぱいあります。
それと比べると、剛力彩芽の台詞って相槌レベルのものだけなんですが、

それでも、顔的には剛力彩芽はさすがに印象に残るのですね、台詞っぱいある岡本玲よりもはるかに印象に残る。

なんでそうなるかについてですが、

実は友達三人の立ち位置ってほぼ固定されています。
映画の進行が<ーですから、谷村美月の立ち位置は基本、右端。
それで、谷村美月と台詞のやり取りの多い岡本玲は、その隣。
剛力彩芽谷村美月の隣りに配してしまうと、ルックスで主役が食われてしまいますから、剛力は一番遠いポジションの左端です。

谷村美月って演技力あるから、脇役なのに主役喰っちゃうじゃないですか。なかなか民法のドラマで使いにくい人だろうなと思うんですが、
逆に、谷村美月が主役の場合、剛力彩芽みたいなアイドル候補生を脇に配されるとルックスで喰われてしまうということになってしまう。
おにいちゃんのハナビ』って、妹萌えの映画ですから、妹=可愛い って図式成り立たないと、成立しないはずのもんです。
だから、剛力彩芽谷村美月がなるべく隣り合わないように画面作ってたんだな、と昨日発見しました。

それから、

谷村美月の着物が赤色で、岡本玲の着物がピンク色。この二色が並ぶと、普通は赤い着物着ている人の方が目立つ。
そんで、友達の内の真ん中の人はピンクの補色の水色。これだと二人揃ってペアですから、着物の色故に、二人の印象ものすごく地味になるんですわね。
それに対して、剛力彩芽の着物は黄色で夜の黒色に実に見事に映える。黒と黄色の配色って一番目立つコンビなんです。

谷村美月の着物の色は、花火の赤色と対応しているので最初から決定でしょうが、その他の友達二人は、主役を引き立てるための着物の色を与えられてしまっています。それに対し、
剛力彩芽の着物の色、妙にやたらと目立つんですわね。
それもあってか、剛力彩芽そのものは、この映画で結構目立っています。
ただ、彼女の台詞が伝わってこない。
どういう経緯で彼女のこの作品への出演が取り決められたのか、いろいろ邪推させられるのですが、

演技できないからほとんど相槌うっているだけの役だったのか、谷村美月より可愛いから仕方なくこういう役柄になったのか、それでも事務所側のプッシュがあったから着物の色が黄色になったのか、などなど。


もう一つ

友達三人のうちの真ん中の人、
彼女に至っては、何度見ても顔を覚えられない。単独のアップ画面がないので友達の数合わせという役柄なんですけれども、
それ差し引いても、谷村美月剛力彩芽に注意が行ってしまうので、ほとんど彼女の顔、私は見ていないんですよ。30回以上見ても、彼女の顔覚えられない。
静止画像でじっくりと見てみたんですが、なるほど確かに地味な顔だ、と思いました。実際、隣に座っていたりすると、可愛いんだろうとは思いますけれども、映画で見るには確かに地味です。

そんでも、彼女の知り合いだったりすると彼女ばっかりに目が行くんでしょうな。いろんな映画の見方があるんだろうなとは思います。

おにいちゃんのハナビ [DVD]

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