『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』 面白かった

志乃ちゃんは自分の名前が言えない 作者: 押見修造 出版社/メーカー: 太田出版 発売日: 2012/12/07 メディア: コミック クリック: 38回 この商品を含むブログ (27件) を見る 押見修造作品の楽しみ方って、 彼が吃音の傾向があってうまくしゃべれない分、人の…

押見修造の作品中のΩ型の前髪の少女 

リアル世界で私たちは何百人何千人もの顔を覚え、区別する能力を持っているのですが、 マンガのキャラの場合だとそういうわけにもいきませんから、全部で10巻前後のマンガだと、主要登場キャラが20人超えるようだともうほとんど話が分からなくなってしまう。…

作品と対話すること 『惡の華』の木下さんの前髪について

対話とは、自分が何か言った時に相手が言い返してくれることで、 相手が生きていないものの場合対話は成り立たないはずです。 だから映画やマンガとの間に対話が成り立つと考えるのは本来おかしいはずなのですが、 二年間とか三年間かけて制作された映画やマ…

女は怖いよ、男はつらいよ

『血の轍』が結構怖い展開になってました。 もともと押見修造の初長編『デビルエクスタシー』って、女はみんな悪魔、って作品ですから、 佐伯さんの転生したキャラが母親として主人公の男の子を生き殺しにするってのはそんなに驚くこともないのかもしれませ…

マンガのキャラって、絵ですから、右から見た時と左から見た時で、かなり違っていたり、 このページとあのページで別の人のように見えてしまうこともあるのですが、 それでも、同じ人物だと読者に納得させるために、キャラは常に同じ服装に固定されていたり…

『血の轍』

キャラクターを数人しか描き分けることのできない漫画家って結構いるじゃないですか。だいひょうてきなのがかわぐちかいじでしょうかな。 でも、キャラクターを数人分しか書き分けることができないのを逆手にとって物語に厚みを出すことに成功してる人って、…

同じ手法、同じポーズ、同じ台詞、同じ小道具、同じ展開、同じテーマ、 岡田和人と押見修造の作品を突き合わせると、いくらでもそんなのが出てきますが、 さすがに、『ぼくは麻里のなか』(押見修造作)の副主人公にはびっくりしました。 名前が柿口依だそう…

「失礼ですけど、お二人は親子ですよね。だって耳の形がまるっきり同じですから」 相席で向かいに座った若者と中年に向かってそう言ったら、親子であることを認めつつも、耳の形が同じだから親子だという指摘は初めて受けたと少々面食らっていた。 親爺の方…

マンガを読みとばす 『惡の華』再読中

このブログは、本来、 映画を見ることについて書いたものであり、画面の流れがどうだの、BGMがどうだの、コップの色と服の色がどうだの・・・ということに留意して画面を見ない限り、 本当のところは自分の心で補正されたものを見ているだけで、他人の撮った…

悪の華

きのう、アメリカ育ちのフランス人と『惡の華』を話題にした。 彼がフランス人とだからということで詩人のボードレールの話した、ということではなく、 ただ彼は、日本のアニメのファンで、趣味が聖地巡礼という、まあ、そのたぐいの人で、 その趣味が彼の仕…

少女漫画

『いびつ』を毎日のように、というか、毎日繰り返して読んでいると、 今までマンガの何を読んでいたのだろうかなぁ?と不思議に思えてくる。 まあ、少女漫画ほとんど読んでこなかったからなんだろうけれども、 岡田和人で使われるスクリーントーン、過剰な柄…

柿口家の二階の間取り図を描いてみた

こんな感じになりましたが、一番の発見は、 柿口さんの枕の位置と円の枕の位置は、直線距離で四メートル程度。 夜な夜な円の部屋を訪れる柿口さん。 十歩程度の距離に過ぎません。 それに天井裏から円の部屋を覗こうとして天井踏み抜いたりしてましたから、 …

柿口家の見取り図を描いてみた 一階篇

『いびつ』ってマンガ、三分の一くらいは家の中の場面です。 そして、あんまり広くもない家が舞台なんですけど、 どうやら実在する家の3Dデータが使用されているらしく、非常にリアルであり、 また、家の個性つまり住んでいる人がどんな生活をしていたのか…

岡田和人のスクリーントーン

嫌な見方をすれば、岡田作品は、 舞台設定の使いまわし、少ない資料の使いまわし、物語の使いまわし、台詞の使回し、 あふれ出るような才能とは無縁の作家、 そういう見方が可能なのかもしれませんが、 わたしからすると、これらの使いまわしによって、ほん…

壊してバラバラにして、直してまた組み立てる。 岡田和人作品の面白いところ、たぶん一番面白いところは、彼の作品群に於けるプロット、キャラクター、台詞、舞台設定がまるでレゴブロックであるかのように分解・パーツ化され、それが次の作品群で再構成され…

大河ドラマ 『黄金の日々』

最近の大河ドラマってクソじゃないですか? で、いつ頃なら面白かったのか?と言われると、いい年のおっさんでも、記憶にありませんでした。 大河ドラマって、ずっと前からくそだったんですが、 いろいろと評判のいい1980年の『獅子の時代』をちょこっとyout…

大河ドラマ 『黄金の日々』

最近の大河ドラマってクソじゃないですか? で、いつ頃なら面白かったのか?と言われると、いい年のおっさんでも、記憶にありませんでした。 大河ドラマって、ずっと前からくそだったんですが、 いろいろと評判のいい1980年の『獅子の時代』をちょこっとyout…

蚕糸の森公園のトイレ

昔、わたしは、杉並区阿佐ヶ谷に住んでいました。蚕糸の森公園というのが地下鉄の駅のそばにあって、その公園に隣接する小学校が室内プールを授業のない時間は一般人に開放していました。 そこにちょくちょく行って泳いでいました。懐かしいです。 そしてそ…

『いびつ』

格口啓吾が森高円が入浴のために脱衣中を覗く。 いきなり、この三枚のコマ見せられると、柿口さんの描き方の振り幅から、別の二人が彼女を見ているように錯覚しないでしょうか? わたくし、毎回毎回、『いびつ』を再読するときにテーマを決めて行うのですが…

『いびつ』 柿口啓吾のキャラ凝縮感

『すんドめ』はヒロイン・早華胡桃のキャラクター凝縮感が魅力の源泉だとすると、その次作『いびつ』の魅力は、実のところヒロインではなく、ヒーローの柿口啓吾のキャラクター凝縮感にあるのではないか?と、 『いびつ』を何度も繰り返し読むうちに思うよう…

『いびつ』 柿口啓吾は殴られるのが魅力

『いびつ』は、生身の女の子と人形の区別が曖昧であることにより初めて成り立つ繊細なバランス感覚の物語なのですが、 人形は人形なのですから、話したり笑ったりしてはアウトです。にもかかわらず、熱心な読者は、人形の無表情の中からも感情を嗅ぎとってし…

『すんドめ』 早華胡桃のキャラクター凝縮感

『ほっぷすてっぷじゃんぷッ!』と次の作品『すんドめ』では、いろいろ異なる点があります。それらは改善されたというべきなのかもしれませんが、 ほっぷすてっぷじゃんぷッ! コミック 全9巻完結 [マーケットプレイスコミックセット] 作者: 岡田和人 出版社/…

岡田和人作品のキャラクターについて

岡田和人作品リスト 天使が来たりて頬たたく(『AKIRA』代理原稿、特別読み切り、週刊ヤングマガジン(講談社)1990年3月19日号No.14掲載) 教科書にないッ!(ヤングチャンピオン(秋田書店)ー2002年19号) 成仏しませぅ(コミックバーズ(スコラ、ソニー…

『いびつ』 岡田和人

『いびつ』は、あらすじ的に語るなら、 幼いころ母親が蒸発した故に、女性に対する感情をこじらせた主人公・柿口啓吾は、生身の女体に反応できず、唯一の趣味がリアルな女体の人形作り。 そこに理想的な容姿の女子高生・森高円が現れ、彼の人形のモデルをひ…

このマンガが好きすぎて困る

映画を見もせず、PC上で読んでるマンガをプロジェクターで100インチに拡大して読んでる。 更には一コマずつ分解して、スライドショーにして見てる。 更には、こまの順番並べ替えて見たりしてる。 岡田和人の『いびつ』について語れと言われれば、五時間ぶっ…

さっきの話の続き

人は絵画に見入るとき、静止画像的な絵を脳内で妄想動画に発展変形させている可能性がある、 ということをさっき書きました。 近代絵画ですと、人間の目の機能に沿ったものが多いです。 つまり、焦点を合わせる事で焦点の外側がぼやけてしまう。 それによっ…

絵を見るとはどういうことなのだろう?

展覧会で絵に見入っている人の頭の中はどのように活動しているのか? と考えるに、 一つの参考として、 ムソルグスキーの『展覧会の絵』から『卵の殻をつけたひな鳥の踊り』 www.youtube.com ムソルグスキーはこの絵を見て、この曲を作ったといわれています…

最後に映画館に行ったのはいつだっただろう?

最後に映画館に行ったのはいつだっただろう?と記憶をたどっていたら、 おそらく二年前にベビーメタルのパブリックビューイングにいった時がそうのようです。 そして、映画館で映画を見たのはいつが最後だっただろうと記憶をたどってみると、 三年前の『かぐ…

マンガの輪廻転生 (4)

子供のころ、物語が悲しい終わり方をすると何日もずっとその気持ちを引きずりました。 物語にいじめられた、うらぎられた、虐待された、独りぼっちだ、さびしい、そんな感じ方です。 しかし、だんだん年を取るに従い、そういう感受性はなくなるものです。 そ…

マンガの輪廻転生 (3)

今回は、マンガ家岡田和人について。 『教科書にないッ!』1995年から2002年まで『ヤングチャンピオン』に連載されていた作品です。 教科書にないッ! 1 (ヤングチャンピオン・コミックス) 作者: 岡田和人 出版社/メーカー: 秋田書店 発売日: 2013/02/22 メ…

マンガの輪廻転生 (2)

阿部寛がいくらドラマで人気者になったからと言って、彼は生身の人間ですから他に変わりがいません。 でも、アニメや漫画のキャラだった場合は、割と簡単に模倣出来て別の作者の作品にキャラが輪廻転生したりするものです。 輪廻というか増殖といった方がい…

マンガの輪廻転生 (1)

つい最近まであまり思うことのなかったテーマですが、最近気になってしょうがないことなので書いてみます。 私たちはドラマや映画に阿部寛とか木村拓哉が出てくると、「あっ阿部ちゃんだ」とか「またキムタクかよ」と認識して、結局よほどのことがない限り彼…

『酒のほそ道』 酒吞みワンダーランド

2012年手塚治虫文化賞短編部門受賞作品です。 酒のほそ道 1 (ニチブンコミックス) 作者: ラズウェル細木 出版社/メーカー: 日本文芸社 発売日: 2012/10/13 メディア: Kindle版 購入: 1人 この商品を含むブログを見る このマンガ 私は繰り返して30回くらい読…

岡田和人 

最近コンビニでマンガ立ち読んでいる人たちを目にしないようになったと思ってたら、マンガ雑誌ってここ数年急激に売り上げを落としているそうです。 そんなんですから、岡田和人氏の連載が載ってるヤングチャンピオンってどんな雑誌なのかあんまり見ることも…

『ロックオペラ・トミー』

文章を朗読するときに、その状況設定や人物設定を理解する必要がある、 数ページ読んで、それら設定が当初自分の思っていたものとずれていた場合には、戻って訂正して読み直さなくてはいけない、 そういう話を『花もて語れ』を読んで、なるほどと思ったので…

『花もて語れ』

映画ではなくマンガの話ですが、 花もて語れ 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL) 作者: 片山ユキオ 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2010/09/30 メディア: コミック 購入: 8人 クリック: 82回 この商品を含むブログ (58件) を見る 国語の教科書でみんな習った…

サンダース候補 ヴァチカンへ行く

日本ではあまり話題にならないサンダース候補ですが、 ヒラリーとのニューヨークでのテレビ討論会のすぐあと、飛行機に乗ってローマに行きました。 ヴァチカンからの招待を受けて、左翼系の指導者と共に今の経済社会状況を憂うという企画に参加したのですが…

ドナルド・トランプについて

彼の動画をしばらく見てますと、 たしかに、人気ある理由は分かります。 演説会にやってくるアンチをつまみ出させるトランプ氏。さすがにこの手のアンチには慣れっこになっているようで、余裕の応対です。 余裕の応対ですが、集会の目的が演説ではなくアンチ…

カリフォルニア州について   サンダースが勝つと飯がうまいの記

飛び地になっているハワイとアラスカはとりあえずとしまして、 私たち日本人が、このような白地図を見せられた時、 フロリダ州とカリフォルニア州以外のいくつのアメリカの州を自信もって指さすことができるでしょうか? 東海岸は小さい州がごちゃごちゃ入り…

『オハイオ』  ニール・ヤングの歌より

今年のアメリカ大統領予備選は面白すぎると、無邪気に思ってたのですが、 私たちの日常を支えているコアの部分が壊れていく過程を目にしていのかもしれないと感じるに至り、 少々怖さを感じるようになってきました。 アメリカの二大政党制が音を立てて崩れて…

「ミシガンは今じゃ夢みたいだよ」  サンダース旋風を注視しながらの記

私の欠点は、心が折れやすい点です。 当ブログで、ほぼ一年前に、映画でめぐるアメリカ50州という連作を始めたのですが、 baphoo.hatenablog.com baphoo.hatenablog.com baphoo.hatenablog.com baphoo.hatenablog.com baphoo.hatenablog.com ジョージア州、…

サンダースの髪型は非常事態警報か?

映画俳優でいうと、ブルース・ウィリスとかショーン・コネリーって禿げてるじゃないですか。 だから、向こうの人たちって日本人ほど禿げることを気に病まないんじゃないか、 そんな風に思っていた時が私にもありました。 シックス・センス [DVD] 出版社/メー…

『トレイン・スポッティング』   You're going to reap just what you sow.

ブリティッシュ・フィルム・インスティチュート(BFI)選出の100本のイギリス映画の内、ランキング10位の名作。 そのトップ20を見ると、古典的名作ばかりなのですが、ぽつんとこれ一本だけ現代劇があるといった趣。 とはいえ、この映画もすでに二十年も前…

『リトルダンサー』  挿入歌について考える

この映画にたくさんT‐REXの曲が使われています。 そのリーダーだったマーク・ボランは、最近死去したデヴィッド・ボウイとはグラムロックの二大巨頭であり、下積み時代からの親しい間柄でした。 こちらは、マーク・ボランが死ぬ直前に収録された歌番組。 Mar…

『クリスティーネ・F』   ヒーローズが主題歌

前回は1月9日に死んだ人のことを書きました。 今回は1月10日に死んだ人のことを書きます。 このブログの題名に「中二のため」という言葉がありますが、 わたしにとっては、中二病とはデビッド・ボウイのファンであること、という定義が一番しっくりきます。 …

美味しゅうございました  正月気分も抜けました

円谷幸吉という人がいました。東京オリンピックのマラソンの銅メダリストです。 彼は、次のメキシコオリンピックで銅メダル以上の結果を期待されたのですが、けがに悩まされ、「もう走れない」と自ずから死を選ばれました。 市川崑監督作 『東京オリンピック…

『Fury Road』  脚本の時間配分から考える

マッドマックスが見る人を夢中にさせてしまうのは何なんでしょう。 小説を論じる時みたいに言葉でうまく語ることができない。思うところはいろいろあっても、うまく言えなくてむずむず感だけが残る。 「イモータンジョーってすごくね?」とか「もし2の世界に…

マッドマックスについてふたたび物思う  『テルマとルイーズ』

スピルバーグの『激突』がマッドマックスの元ネタになっているというのは、監督のジョージ・ミラ―自らが認めるところです。 スピルバーグってハリウッドでも屈指のコミュ力の高い男で、それゆえジョージ・ミラーとしてもあっけらかんと「元ネタにしました」…

マッド・マックスについて物思う   ジョージ・ミラーとスピルバーグ

スピルバーグとかジョージ・ミラーの映画に黒澤からの流用シーンを見つけるのはたやすいのですが、 そういうオマージュは前世代の作品からやるもんだと私たちは、というか少なくとも私は思っていたのですが、 そして、同世代の作品から流用することは、オマ…

ハリウッド大御所監督の年齢について

ジョン・レノンは1940年生まれですから、今生きていたら76歳。 最近の老人は、彼彼女たちの親世代よりも身体的に10歳若いと言われますので、いまの70台は、まだ今後10年20年はぴんぴんしているのでしょう。 平日の昼間に、地区センターでカラオケ…